原人物語12

平成9年の第6回明石原人祭りの事務局長となった三木則男氏は、明石乗馬協会の理事長である傍ら、ダイブセンターノリスというダイビングを扱う会社の社長でもありました。

彼の提案で、明石原人祭りも、プランニングセクションが立案した企画を 各イベントの実施部門に落とし リーダーが責任を持って取り仕切る というシステマティックな体制に整理されていきました。

西八木海岸会場での企画は、『二体目の明石原人を見つける!』というテーマの下、ダイブセンターノリスの呼びかけで全国からダイバーを集め、当時 ノリスに在籍していた世界で5人と言われるダイビングインストラクターを認定できる資格を有したインストラクター多羅尾氏がリーダーとなって 海に沈んだ原人腰骨発見の地層を目視して化石を探査するというものでした。

西八木の沖はなだらかに傾斜した海底が一気に200mほど落ち込み、さらにその落ち込みが流れの速い明石海峡の海流に削られて ひさしのような形にえぐれています。

そのえぐれたひさしの下の部分が もっとも原人化石発見の確率の高い箇所と言われています。

ところが、化石の海と呼ばれる西八木沖は 潜るとまるで「味噌汁」をかき混ぜた時のように泥が巻き上がり 視界はゼロに近くなるのだそうです。

しかも、『ひさし』の下は光が届かず、明石海峡の海流は 少し油断をするとすぐに淡路の南側まで流されていくという速さ…世界で5本の指に入る技術を持った多羅尾氏も「怖い」と言うほどでした。

そんな難易度の高い海に潜って「幻の明石原人の骨を探す」…こんなロマンに、全国の腕自慢ダイバーは心をくすぐられ、多くのダイバーが応募してくれました。

ダイビング中の海の中は、富士通の協力でインターネット中継され、西八木海岸会場の来場者はだれでも観ることができました。

これも画期的な企画でした。

あまりに速い海流と視界の悪さで 二体目の原人骨を発見することはかないませんでしたが、この企画は、全国的に注目を集め、NHKテレビや大手新聞社などの各メディアが競って取り上げました。

「明石原人の発見地」であることに誇りを持つ八木、谷八木、西八木の地域のみなさんも、「駅前の人らが一生懸命やっとんのに 地元がじっとしとったらあかん」と惜しみない協力をしてくれるようになりました。

そして、この年 平成9年9月18日 藤江川で明石原人が存在した可能性を裏付ける大きな証拠が発見されるのです。